今、文具業界のコクヨとぺんてるの間で経営権問題が騒動になっています。
簡単に説明すると次のようになります。
ぺんてる株の37%を保有しているファンド(マーキュリアインベストメント)が、
そのファンド自身の株式をコクヨに、ぺんてるに事前の連絡もなく譲渡してしまい、
結果として、コクヨがぺんてるを間接支配することになってしまったということです。
ここで問題となるのは、ぺんてる株式については、譲渡制限がついていたという事です。
金融業界では、『実質的には譲渡制限の潜脱に当たる恐れがある』と指摘していますが、
マーキュリアは直接ぺんてる株を譲渡したわけではないので、法的に問題はないと説明しています。
今後どのような展開になっていくか見守っていく必要がありますが、
このようなことは、中小企業でも起こる危険性があるということです。
一般的には、中小零細の株式会社の場合には、株式の譲渡制限が設けられています。
株式の譲渡制限とは、会社の株式を譲渡するには、株主総会の承認を受けなくてはならないという規定です。
自由に株式の売買を認めてしまうと好ましくない第三者に株式が渡り、
経営の安定性が保てなくなってしまうリスクを避ける為なのです。
株式の譲渡が承認されなかった場合には、株主の権利として、株主は、会社もしくは会社の指定買取人に対し株式の
買取請求をし、会社に買い取ってもらうことが出来ます。株の譲渡に伴うトラブルに巻き込まれる前に、
定款にこの株式の譲渡制限の規定が設けられているかどうか、株主構成がどうなっているのか、
再度見直しておく必要があるのではないでしょうか?